軍人と役人


軍人の発想は単純明快なものである。なぜならば軍人は、最終的には力を信じているからである。
官僚、行政官の発想は複雑怪奇。なぜならば、最終的に官僚は力を信じ切れないからである。
権力は、両者の危うい均衡の上に成り立っている。
大衆は、単純なるが故に軍人が信じ切れず。複雑なるが故に、官僚や為政者を信じられない。


戦争に正義はない。戦争にあるのは勝敗だけである。勝敗で問題とされるのは、強弱である。強者だけが己の正義を全うできる。それを真の正義というのだろうか。

敗者に大義は許されない。敗者に許されるのは、勝者の憐憫に縋るだけである。
しかし、それて真の正義は実現できるのだろうか。

戦争で一番被害を被るのは弱者である。
それが歴史の真実である。

歴史は、人の犯した愚行や悪行の満ちている。
戦争の惨禍は人間の犯した罪である。
神の問題ではない。

歴史は、血に飢えている。
歴史に正義を求めるのは愚かである。
正義は、歴史を超越した事である。
正義に新旧老若男女の別はない。
ロミオとジュリエットの昔より、憎しみの連鎖を立ちきる事も必要なのである。
なによりも大切なのは、戦争は起こしてはならないのである。

勝者は奢り、敗者は阿る。それでは、真の平和は訪れないし、真の自由も実現できない。

戦争は、残虐で残酷なことである。
それは特定の国や民族に限った事ではない。戦争は、人類総てにとって、残虐で残酷な事である。
戦争に於いて敗者だけが残虐、残酷なのではない。勝者だって残虐で残忍なのである。敗者にだけ戦争の残虐さや残酷さの責任を負わせていたら、戦争の本質は見えてこない。

人道主義は、普遍的な事であって、歴史的問題ではない。
どの国の歴史も、どの民族の歴史も血塗られたものである。歴史を学べば誰も自国の犯した罪を正当化する事はできない。
歴史から何を学ぶべきなのか。それは人間の犯してきた罪を学ぶべきなのである。







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