想い


一部屋の空間

この一部屋の空間が、
本当に知りうる全て。
昔は、それだけが真実だった。
でも、我々は、
壁の向こうの世界を
知っている気になっている。
目の前にある世界だけが
真実だという事を
昔の人は、知っていた。
以前は、
自然と共に生きてきた。
朝日が昇ると
外に働きに出て。
日が沈むと部屋に閉じこもった。
壁一つ向こうは、漆黒の闇の世界。
闇は、
人々の想像力をかき立てる。
夜の闇を飛び回る妖精や妖怪の世界。
神秘の世界。
でも皆、真実だ。
赤々と燃える暖炉の炎。
パチパチと薪の燃える音。
薪の燃える匂い。
父の膝の温もり。
昔語りをするジィちゃんの声。
直接、物に触れ。音を聞いてきた。
今は、作られた世界。
仮想の世界の中で生活している。
嘘の世界。
それを真実だと思っている。
今の人間は、
何でも知っているという。
でも、本当は、
仮想の世界に住んでいるのだ。
真実は何も知らない。
この一部屋の空間だけが、
真実の世界。






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