生き甲斐について


私は思うのです。

指導者は人を見る目がなければやっていれない。
おまえは見所があると言ったところで、でも、俺は人を見る目がないなんていったら誰もついてこなくなりますからね。
嘘でも、俺は人を見る目があると突っ張らなければならない。
でも最初から人を見る目がある人なんていやしない。
人を見る目を養うと言ったところで、結局、人を信じて騙され、背かれながら養うしかない。
結局、世話はない、騙されたり、裏切られたりしているのである。
騙されても、背かれても、裏切られても人を信じる。
あなたは人を信じられますかなどと言われたら、信じられるか否かではなくて、信じるとしか言いようがない。信じるしかないのである。
それが指導者である。
指導者が仲間を信じられなくなったらお仕舞いである。

一番間違いを犯しやすいのは、指導者ですよ。
なぜならば、指導者というのは、組織がすることの総てに責任を負っているからです。
だから、多くの指導者は晩年、精神を病むことが多いです。
自分のやったことを正当化しようと否定しようと結果の重さがのしかかってきますからね。
酒や女に溺れる者が多い。
しかし、それで許されるという事はありませんからね。
現役の時は、とにかく自分を信じる以外にないですね。
自分が信じられなくなったら潰されてしまう。

日本人なんて糞食らえと思う事ありますよ。
恩知らずだし、恥知らずだし、意気地なしで、根性なしの役立たず。その上見栄坊で僻みっぽいときている。
でも、裏切ったり背いた者のために命を賭けて働く。それも一興ですよ。所詮、人の一生なんて自儘、勝手気儘なものでしょ。自分がよければそれで良いじゃないですか。
背かれ、裏切られたとしても自分がそれを由としたら、それも人生ですよね。

経営者なんて部下に騙される事を前提に仕事をしているようなものですからね。
あんまり見え透いた事をされれば腹も立ちますが、それでもあえて、騙され事を承知で決断する事もありますよね。
そうでなければ大きな事業に手を出す事はできませんからね。
結局、何だってやってみなければわかりませんから。
儲かるかどうかなんて最後までわかりませんよ。
でも部下にしてみれば儲かりますとしか言いようがありませんものね。
経営者、特に、オーナーは一つや二つの失敗はしてますよ。
結局、その後始末をさせられるのは、腹心ですからね。大概、そういう腹心は反対しているんですよ。
自分は反対したのに、その尻ぬぐいさせられた上、責任までとらされる。
そこまで行くと美学ですよね。
昔、「日本の一番長い日」という映画がありましたが、そこで阿南さんや米内さん鈴木貫太郎首相なんか皆命がけで終戦処理をしたんですからね。
ああいう時にこそ人間の真価は問われるのですよね。

自分は、同じ会社の仲間が基本だと思うのです。
そうでなければおかしいですよ。
別に、お客様のためとか、株主のためという事を否定したりはしませんけれど、じゃあ株主やお客様が総てかというとそうではありません。
客のためにも、株主のためにも、社員は働いていませんよ。
会社を成り立たせるために、お客様の事や株主を大切にしろというのはわかります。
しかし、社員は、会社の仲間のために、そして、家族のために働いているんですよね。
それ以外ないですよ。会社を守るのは社員ですから。
経営の根本は、家族主義だし、会社は、一家ですよ。一種の共同体ですよ。
だから僕は社員を幸せにするために働いているんです。
その辺のところが、どうも最近おかしくなっている気がします。

そりゃあ、お客様のため、株主のためというのは一つの筋ですよ。
でも、それは会社が成り立つための方便であっで第一義は、社員のためであり、家族のためですよ。それがあってお客様だし、株主のためですよ。
いくらお客様のためと言っても経営が成り立たなくなったら意味がないです。
会社があるから、お客様に奉仕する事ができるのです。

日本人の徳目は、今も昔も、忠義であり、忠誠ですよ。
でも今の会社には、愛社精神にすら定年がある。
だからおかしくなってしまうんですね。
僕は生き甲斐は死に甲斐だと思っています。
たとえ、裏切られても、背かれても忠誠を誓う事のできる対象がある事は素晴らしい事です。
大将というのは、自分のために部下を馬前で死なせてやるくらいの度量も求められるんです。
黒澤明の影武者の中で、影武者を守って多くの若者が死んでいくのですが、その時、側近が彼等の死をよく見ておけと言うのが印象的でした。
士は、己を知る者のために死すです。

どうせなら男子たる者、戦って死にたいですからね。
戦わずして白旗を掲げる事だけは厭ですね。



                content         


ページの著作権は全て制作者の小谷野敬一郎に属しますので、 一切の無断転載を禁じます。
The Copyright of these webpages including all the tables, figures and pictures belongs the author, Keiichirou Koyano.Don't reproduce any copyright withiout permission of the author.Thanks.

Copyright(C) 2014.7.24 Keiichirou Koyano